データ分析とは?データ分析の基本的な手法などを解説

データ分析とは?重要性やメリット、具体的な手法を紹介

データ分析は、企業の課題や可能性の発見を可能とし、売上向上につなげられるため、現代ビジネスにおいて重要視されています。そのため、データ分析の実施を検討している企業も多いでしょう。

ただ、データ分析を導入するにあたって、そもそもデータ分析とは何なのか、どんな手法があるのか、実際に何から始めれば良いのかなどが分からずに躓いてしまう方が多いのも事実です。

この記事では、データ分析の基本から、具体的な手法、実践方法までを解説します。データ分析についての理解ができるだけでなく、目的に合ったデータ分析手法を知ることも可能です。データ分析についての基本的な内容を知りたい方は、ぜひ本記事をご一読ください。

データ分析とは

データ分析とは自社が集めた情報を、目的に合わせて整理・分類し、それを基に詳しく調査することです。

データ分析は、営業戦略やマーケティング戦略などの意思決定に大きく役立つため、企業活動において重要な役割を果たしているといえます。

データ分析を行うべき理由

データ分析を実施すると、主に以下の3点が分かるようになり、取るべき施策や戦略が明確化されます。

  • 正確な現状分析ができる
  • 将来的な予測が可能になる
  • 自社の課題を洗い出せる

この章では、それぞれがなぜデータ分析の実施によって分かり、施策や戦略の立案にどのように役立つのかを解説します。

正確な現状分析ができる

市場や自社・競合のデータを分析することで、市場における自社の強みや弱みを踏まえた正確な現状分析ができます。

自社の現状を明確化することで、これから特に注力していくべき施策や戦略はなにか、どの部分にコストをかけると営業やマーケティングの効率化を図れるのかの判断が可能です。実際のデータ分析による現状分析の一例を以下にまとめています。

■課題
製品の機能の豊富さで他社と差別化ができているにもかかわらず、売上がいまいち伸びていない

■現状
自社と競合の製品以外のデータ(サポートや販売戦略など)を分析したり、顧客からアンケートを取って課題を分析したりしたところ、購入前後のサポートが不十分で、顧客満足度があまり向上していないことが発覚

■対応策
カスタマーサクセス部門を新たに設けるなど、顧客満足度を向上させて売上につなげるための施策検討

将来的な予測に役立つ

市場や自社の売上状況・成長率などのデータの分析を行うことで、将来的に企業がどのような状況に向かっていくのかを予測できます。

データ分析による将来的な予測は、企業が成長を続けていくためには今後どのような施策を打ち出していかなければならないのかを把握するためのヒントになります。実際にデータ分析による将来的な予測が可能になる例を以下にまとめています。

​■課題
自社の主力製品の売上がに伸び悩みがみられるが一時的なものかどうか判断できない

■現状
今まで打ったプロモーション施策と売上の関係、売れる時期と売上の関係、市場規模の変化などさまざまな観点から分析した結果、売上の伸び悩みの原因が市場規模の縮小にあり、これからも縮小すると発覚

■対応策
問題が深刻化する前に事業の大幅な方向転換のような打ち手を早期に講じる

自社の課題を洗い出せる

自社の状況や成果、顧客からの声などをデータ分析することで、自社の課題を洗い出せます。課題を明確にし、改善点を理解することで、自社の弱みにピンポイントで対策でき、業務効率化やコストの削減につなげられます。実際にデータ分析によって課題の洗い出しが可能になる例を以下にまとめています。

​■課題
テレアポを中心に製品を売るための営業活動を実施しているが売上につながっていない

■現状
製品を購入してくれるきっかけについて顧客アンケートを実施し分析すると、Webサイトを見て購入してくれた人が多いことが発覚

■対応策
効果が低いテレアポはやめて、ディスプレイ広告やリスティング広告などのWebプロモーション施策を重点的に実施することで効率的な集客が可能

データ分析の具体的な手法

データ分析にはさまざまな手法があり、それぞれ特徴や目的、強み、弱みが異なります。以下の表でまとめましたので、データ分析の方法を検討する際にお役立てください。なお、この章では、それぞれの分析方法について、詳しく解説します。

ABC分析バスケット分析クロス分析クラスター分析
特徴顧客や商品を重要度順にA・B・Cの3段階に分ける商品やサービス間の相関関係を明らかにする収集したデータを属性(性別・年齢など)ごとに分類して集計収集したデータから似た特徴のものを集めてグループ形成
目的資源の最適な配分や優先順位の設定顧客の購買パターンの理解とクロスセルの促進異なる属性間の関係性や傾向の把握顧客や商品のセグメンテーション
強み・ 優先度や重要度を明確にする・ 効果的な施策の検討が可能・商品同士の隠れた関係性の発見・効果的なプロモーション施策の実現・各属性の習慣や好みの把握・プロモーション施策に役立つ・ユーザーセグメンテーションの実現・効果的なマーケティング施策の提案
弱み・一部の商品や顧客に偏る可能性・定期的な見直しが必要・大量のデータが必要・関係性が必ずしも有効でない場合も有・属性の選定が難しい・ 大量のデータが必要・適切なクラスタ数の選定が難しい・定期的な見直しが必要

ABC分析

ABC分析は、顧客や商品を重要度の高いものから順にA・B・Cの3段階に分類して、施策実施の優先度を決める手法です。顧客や商品の重要度の高い順にコストや人的資源をかけることで、最適な配分が可能になります。

ABC分析は、在庫管理やマーケティング施策の検討など、さまざまな用途で用いられます。例えば、在庫管理で用いる場合、商品をA・B・Cの3段階に分類して、Aは常に一定数あるようにし、Bはある程度在庫が少なくなってきたら発注、Cは在庫がなくなったら発注のようにします。マーケティング施策で用いるのであれば、売れているAはプロモーションにより力を入れて売るようにすることも考えられるでしょう。

ただし、重要度のみをもとに優先度を決めると、一部の顧客や商品に対して資源やリソースが偏る可能性があるため、定期的な見直しが大切です。

バスケット分析

バスケット分析は、顧客が一度に買う商品やサービスの組み合わせにどんな関連性があるかを探る手法です。この分析を利用すると、顧客の購買パターンの深堀りが可能になり、商品配置やプロモーションの最適化などのメリットがあります。

例えば、あるスポーツ用品を扱うECサイトをバスケット分析した結果、トレーニングシューズとソックスが同時に売れる傾向にあることがわかったとします。その場合はトレーニングシューズを買い物カゴに入れた人に向けてソックスをおすすめしたり、トレーニングシューズとソックスを同時にキャンペーンで安くするなどの方法が考えられるでしょう。

ただし、商品やサービスの組み合わせにおける関係性の解釈が難しく、施策や戦略に落とし込めない場合もあります。また、精度の高い分析を行うには大量の取引データが必要になるため、分析の前提として情報をできるだけ多く蓄積していることがマストです。

クロス分析

クロス分析は、収集したデータを属性(年代や性別など)とかけあわせて関連性を探る手法です。商品やサービスと属性間における関係性の把握ができます。

例えば、自社商品を分析する際に「30代 男性」というデータを組み合わせて、売上高を計算することで、30代男性に自社商品のニーズがあるのかを分析できます。このようにデータを活用することで、プロモーション施策を打つ際のセグメント選定に役立つでしょう。

ただし、属性が無数にあることから選定が難しい点が課題です。また、バスケット分析(アソシエーション分析)と同様に大量のデータがなければ正確な分析が難しいでしょう。

クラスター分析

クラスター分析は収集・蓄積したデータから似た特徴のものをまとめてグループ(セグメント)を形成する分析手法です。主に顧客や商品・サービスのセグメンテーションを目的としています。セグメンテーションを実施することで、自社のターゲットとして有効な層を特定でき、効果的なマーケティング施策の立案が可能です。

例えば、ある家電量販店で顧客の年齢や性別、居住地、店に対する満足度、最近購入した商品、今までの利用頻度などを聞いたアンケートを取ったとします。その傾向をクラスター分析によってセグメンテーションをすると、利用頻度の多い30代の男性がテレビを購入することが多いとわかりました。その場合は、広告のアオリ(興味を惹く目的でつける短い文)を30代男性に向けての内容にしたり、30代の男性がほかに購入するものと一緒にセールを実施するなどの施策が考えられるでしょう。

ただし、実際にクラスター分析を行う際の注意点として、理想の結果を求める分析者の主観が入り込んでしまい正確な分析が難しい点があります。適宜、複数の人の意見を取り入れながら分析すると良いでしょう。

バスケット分析とアソシエーション分析の違い

バスケット分析と似た分析手法としてアソシエーション分析が挙げられます。どちらも商品やサービス間の関連性を探る手法であり、ひとまとめにされがちですが、厳密には微妙な違いがあります。

バスケット分析は、特に小売業での顧客の購入パターンを分析する際に使用され、どの商品が一緒に購入されるかを明らかにします。一方、アソシエーション分析はより広範なデータセットに適用可能で、あるアイテムが購入されたときにほかのアイテムが購入される確率を計算します。

データ分析の基本的な手順【5ステップ】

実際にデータ分析を実施する際はこの5ステップで進めます。

【ステップ1】明確な目的を設定する

データ分析の実施前に、なにを達成したいのか、どんな課題を解決したいのかを明確にすることが重要です。目的を明確化させないとどんな情報を調査・収集すれば良いかが分からなくなってしまいます。

具体的な流れとしては、まず、目的や目標を明文化し、それに基づいて必要なデータや情報をリストアップします。具体的な目的や目標が特にない場合でも「売上向上」のような大まかなもので良いので立てるようにすると方向性を検討しやすいです。

この際、目的に合わせてデータ分析の手法を選びます。3章「データ分析の具体的な手法」の内容を参考に自社の活用イメージと最も近いものを選ぶと良いでしょう。

【ステップ2】必要なデータを収集する

分析方法の定義に基づいて、必要な情報(使用するデータ)を探していきます。当然ですが、ここで集めたデータや情報は分析する上での前提となるため、正確な情報の収集が大切です。

具体的な流れとしては、必要なデータや情報はどこにあるのかを検討し、既存のデータベースやアンケートなどから情報を収集します。その際、部門間で協力が必要な場合は協力を要請しつつ進めると、情報が充実し、より精度の高い分析につながるでしょう。

【ステップ3】データを確認・整理する

収集したデータの全体像を把握し、分析用にデータを整えます。データの特性や傾向を視覚的に確認しやすくすることが主な理由です。分析の目的に合った形にするために、不要なデータの削除や成形を行ったり、分析しやすく調整したりします。

具体的には、Excelやグラフツールを使用して、データを整理・可視化します。

【ステップ4】データの分析を実施する

収集・整理したデータに基づき、具体的な分析を実施します。BIツールと呼ばれるデータを分析してくれるツールもあり、そのツールを使用すると、初心者でも簡単にデータ分析の実施が可能です。

具体的な流れとしては、分析ツールやExcelの関数で出力したデータをもとに分析を進めます。3章で紹介した手法から自社に適したものを選択して分析すると良いでしょう。

【ステップ5】結果を共有する

分析の結果をまとめ、ほかの関係者やチームメンバーに伝えます。あくまで分析だけで終わらせるのではなく、結果を共有すると連携が可能となり、戦略や施策がより実現に近づくでしょう。

共有方法としては、結果をまとめたレポートやプレゼンテーションを作成し、関係者とのミーティングを設ける方法が考えられます。

データ分析する際のポイント

データ分析を実施する際は、2つのポイントを守らなければ、正確な分析が不可能となり、誤った戦略や施策を打ち出してしまう可能性があります。この章では守るべきポイントと対策について解説します。

  • 客観的な分析を心がける
  • 手法に固執しすぎない

客観的な分析を心がける

データ分析を行う際は分析者の主観は捨てて、客観的な分析を心がけましょう。分析者の主観が混じってしまうと、分析の正確性が薄れてしまうためです。

具体的な対策としては、データ分析の客観的な実施を意識して、「この分析結果はきっと〇〇だから、このような結果になったのだろう」といった主観が入り混じった安易な判断を行わないようにしたり、常に主観が入っていないか自問自答したりするなどが考えられます。

手法に固執しすぎない

3章でデータ分析の方法を紹介しましたが、あくまで手法にこだわりすぎずに柔軟にデータ分析を進めることも大切です。データ分析はあくまでも自社の目的を達成するための手段です。分析手法に固執しすぎると、自社を成長させるためのヒントを見落としやすくなるでしょう。課題を明確にしてその課題を解決するにはどうすれば良いかの視点から、手法を柔軟に使い分けましょう。

まとめ

この記事では、データ分析の基本的な知識、データ分析を行うべき理由、具体的な手法、データ分析の5ステップ、そして分析する際のポイントについて詳しく解説しました。

データ分析はビジネスの意思決定において非常に重要な役割を果たし、正確な現状分析や将来的な予測、自社の課題の洗い出しに役立ちます。そうすることで会社の売上につなげることも可能でしょう。

データが増加する現代において、データ分析のスキルはますます重要となっています。この記事を参考に、データ分析を効果的に活用してビジネスの成功にお役立てください。

とはいえ、情報にあふれている現代において、自社だけでデータ分析を正確に行うのは難しい側面もあります。データ活用にお悩みの方は、データクレンジングに強みを持つNTTタウンページにぜひご相談ください。貴社の持つデータを最大限に活用するために、経験豊富なスタッフがサポートいたします。

2023年12月執筆


事業所データのマーケティング活用という新たな可能性をどう広めていきたいですか?

データベースにご関心やお悩みがございましたら、
ぜひお気軽にお問い合わせください。