POSデータ活用で売上向上!具体的な分析方法や活用事例を紹介

POSデータ(販売データ)を分析することで、顧客の購買行動を細かく把握することができます。活用により売上向上や、販促の活性化が期待できますが、そのポテンシャルを十分に生かせていない、または活用方法が分からないという企業も多いのではないでしょうか。

本記事ではPOSデータから得られる情報や活用のメリット、具体的な分析方法、2つの活用事例を紹介します。

POSデータ活用で売上向上!具体的な分析方法や活用事例を紹介

1.POSデータ(販売データ)とは

POSデータは、売上や顧客満足度の向上、販売促進などさまざまなビジネス戦略の策定に役立ちます。まずはPOSデータの基礎知識を確認しましょう。

顧客の購買行動を示す数字

POSデータとは、小売業や飲食店などで使われるPOSレジでの会計時に取得・蓄積されるデータです。POSは「Point of sales」の略で、「販売時点情報管理」と訳されます。いつ、どの商品が、何個売れたかなどを記録・集計するシステムです。POSデータを分析することで、売れ筋商品や、売上が落ち込んでいる商品が把握でき、状況に応じた販促活動や改善施策の検討材料になります。そのほか、仕入れ数や在庫の調整にも使え、コスト削減に役立てられます。

POSデータで取得できる情報

POSデータで取得できる情報は主に6つあります。

  • 購入店舗
  • 購入商品の名称
  • 購入時間
  • 購入点数
  • 購入商品の価格
  • 購入者の属性(性別・年代)

これらの情報はリアルタイムで蓄積され、顧客の購買行動やニーズを迅速に可視化させることが可能です。

2.POSデータ活用の4つのメリット

POSデータは、ビジネス戦略の有効性を高め、課題解決の糸口を見つけられるツールです。活用により自社の状況を明確に把握できることで、新たなチャレンジや改善活動もしやすくなります。以下で紹介する4つの活用メリットを参考に、自社ではどのように活用できるかイメージしましょう。

【1】売上予測の精度が上がる

過去に遡って日別、時間帯別の売上データを集めることで、売上予測が立てやすく、マーケティングの精度が向上します。

例えば週末の売上を予測したい場合、過去数年間の同時期の曜日別売上傾向から予測が立てられます。「過去3年間の12月の土日売上は平日の1.5倍だったから、今年の12月も1.5~2倍の予測を立てて準備をする」など、具体的な数字をもとに戦略を練ることができるのです。

POSデータは時間帯別の情報も取得できるため、ピーク時間の特定や客足が落ち込む時間の予測も可能です。より詳細に売上予測が立てられ、効果的なビジネス戦略の策定が叶います。

【2】売れ筋商品・死に筋商品が把握できる

購入商品の名称や購入時間、購入点数、購入商品の価格を分析することで、どの商品がどのような条件で購入されているのかが洗い出され、売れ筋商品・死に筋商品を把握できます。

売れ筋商品は発注数を増やして売り時のチャンスを逃さない施策を実施し、売れていない商品は発注数を減らして対策を講じるなど、次のアクションを起こしやすくなります。

【3】在庫の最適化が図れる

POSデータにより売れ筋商品、死に筋商品が把握できれば、商品の発注数の調整がしやすくなります。その結果過剰・過少在庫を防ぎ、在庫の最適化が図れるでしょう。

「A商品の売り時が訪れているのに欠品している」といった機会損失や、「B商品をいつも通り発注したため売れ残りが出てしまった」というロスを防げ、売上・収益の向上につなげられます。

継続的に在庫数の検証を行うと、在庫管理の改善点が見えてきて、在庫回転期間や回転率の上昇に役立てられるでしょう。

【4】販促のタイミングと方法が判断できる

顧客が商品を購入する時間帯や時期の分析で、商品が売れるタイミングと売れにくいタイミングを見極めることができます。

売れるタイミングで商品の発注数を増やしたり、併売やキャンペーンを行ったりと、さらに売上を伸ばすための施策を実施すると効果的です。売れないタイミングでは、集客のためのセール実施や店内のレイアウト改善など、具体的な対策が講じられます。

広告を打ち出すタイミングや新商品のリリース時期の判断にも役立ち、より効果的な販促活動ができるようになるでしょう。

3.POSデータの分析方法

POSレジは、膨大な量のデータを手に入れることができます。それらのデータを有効活用するためには、分析方法を理解しなければいけません。3章ではPOSデータを活用する際に用いられる4つの分析方法を解説します。

▼4つの手法

  • ABC分析
  • RFM分析
  • トレンド分析
  • バスケット分析

ABC分析

商品の「売上高」、「在庫」、「コスト」などの指標から重視する評価軸を定め、商品を3つにランク分けして管理する手法です。

▼活用例

  • A=よく売れている商品    → 発注数を増やす
  • B=売れ行きがまずまずの商品 → 発注数は変えずに様子を見る
  • C=あまり売れていない商品  → 発注数を減らす

ABC分析を用いることで「売れ筋商品」「死に筋商品」が明確になり、仕入れ調整や在庫整理を適切に行うことができます。ランクごとに異なる戦略が立てられ、売上の向上や不要なコストの削減が期待できるでしょう。

RFM分析

「Recency (最近の購入日)」「Frequency(来店頻度)」「Monetary (購入金額)」の3つの指標で、顧客を分類する手法です。R、F、Mそれぞれにランクを設定し、「新規顧客」「優良顧客」「安定顧客」「休眠顧客」「離反顧客」などグルーピングを行います。

▼活用例

  • 優良顧客(R、F、Mすべての指標で最高ランク)
    ・優待キャンペーンを行うなど、ロイヤリティを高める施策を考える
  • 安定顧客(R、Fは高ランクだが、Mは低ランクの顧客)
    ・購入商品に関連したアイテムやプレミアムサービスの追加購入を促す施策を考える
  • 休眠顧客(Mは高ランクだが、R、Fは低ランクの顧客)
    メルマガを配信するなど、店舗への来店を促す施策を考える

RFM分析によりそれぞれの顧客ニーズが可視化され、最適かつ具体的な販促活動が実施できます。

トレンド分析

商品の売上数を時系列で見ることで、その商品がどの時期にどのくらい売れているかを分析する手法です。販売実績から季節要因を導き出し、商品が売れやすい時期の検討が容易になります。

  • キャンプ道具などのレジャー商品は大型休暇の前に売上が上がるため、仕入れ数を増やす
  • クリスマス商品やバレンタイン商品はイベントの2カ月前から需要があるため、在庫を確保する

季節ごとの売れ筋商品が分かれば、キャンペーンやPRの実施タイミングの判断、在庫量の調整に役立てられます。また商品の陳列を工夫するなど、現場の販促施策もより高精度に実施できるでしょう。

バスケット分析

会計された買い物かご(=バスケット)の中身を分析する手法です。この分析方法では、セットで購入される商品の傾向を見つけられます。

▼活用例

  • 冬場は白菜と鍋の素が一緒に購入されやすい → 野菜売り場に並べて展開する

一緒に購入されやすい商品が分かれば、それらをセットにした商品を新たに発売したり、店頭で並べて陳列したり、購入してもらえる工夫ができます。そのほか、同じ日に特売日を設けて購入を促すなどの方法も検討しやすくなります。

4.POSデータの活用事例

ここではPOSデータを活用した売上分析により、キャンペーンの実施や新たなメニューの開発を行い、結果に結びつけた例を紹介します。

小売業での活用事例

1カ月の中で売上の変動が大きい日があり、状況に応じたキャンペーンや施策を検討するためにPOSデータを活用しました。

  • POSデータで分析したこと
    ●1カ月の中で売上がもっとも高い週、期間
    ●1カ月の中で売上が落ち込む日や期間
  • POSデータ分析結果と実施した施策
    ●月末の給料日後は売上が上がる
     ・売上が見込める期間の購買額を上げる方法を検討し、購入額に応じたプレゼントキャンペーンを月末に実施した
    ●雨の日は売上が落ち込み、集客が見込めない
     ・雨の日限定の値引きキャンペーンを実施して客足を伸ばし、売上が天気に左右されない対策を行った

POSデータを活用すると細かな単位で売上を集計でき、どのようなシチュエーションで売上が変動するのかが詳細に見えてきます。そのため状況に応じて、顧客を取り込むためのキャンペーンや改善策が検討しやすく、また実施するタイミングの判断も容易になります。

飲食店での活用事例

新メニュー開発や、季節商品の提供開始時期の判断がつかず、来店客の動向を探るためにPOSデータを活用した飲食店の例です。

  • POSデータで分析したこと
    ●メニューごとの注文数を、男女別・年齢別などの属性で分析
    ●メニューごとの注文数を、年間・月間・週間など期間を分けて分析
  • POSデータ分析結果と実施した施策
    ●食後にデザートを頼む女性が多い
     ・女性客の注文を見込んでデザート付きのレディースセットを新開発した
    ●気温が27℃を超える日は、冷たいメニューの注文が増える
     ・売上のチャンスを逃さないよう、例年より暑い日が続く日は前倒しで冷たいメニューの販売を開始するなど、メニュー提供時期を調整した

属性や期間で売上を分析することで、どの商品が誰にどれだけ注文されているかといったデータが手に入ります。新たなメニューの考案や、販売時期の調整に活用できるのはもちろん、売上を期待していたのに伸び悩んだ商品の分析や、店舗の課題発見など、改善活動にも使えるのがPOSデータの強みです。

5.まとめ

POSデータの活用は、在庫数を調整してコストを削減したり、顧客ニーズに応じた販促を行って満足度を高めたりと、ビジネスチャンスを拡大させることができます。効果的な活用のためには活用方法や分析方法を理解することが重要です。本記事で基礎知識を身に付け、自社での活用を検討してはいかがでしょうか。

NTTタウンページではデータの販売のほか、スクリーニングや分析代行、DMの発送、テレマーケティング代行まで、より確度の高いマーケティングのお手伝いをさせて頂きます。データを保有しているけれどあまり活用できていないという課題をお持ちの際は、データベース活用のノウハウがあるNTTタウンページへご相談ください。

2023年12月執筆


マーケティングに活かせる外部データ活用方法をまとめたE-bookもぜひご覧ください。

『データ活用の可能性を知るマーケティングにおける外部データ活用最前線』


事業所データのマーケティング活用という新たな可能性をどう広めていきたいですか?

データベースにご関心やお悩みがございましたら、
ぜひお気軽にお問い合わせください。