市場の変化が早いニューノーマル時代の顧客開拓やマーケティング活動においては、感覚的な手法ではなく客観的なデータをもとにした手法を取り入れることが大切です。今回は保有する顧客データを活かして、戦略的にアプローチをしていくヒントを紹介いたします。
ポイント1 顧客データをデジタル化する
あなたの会社や事務所、店舗では顧客データをどのように保有していますか?
「データ」といっても、必ずしも「デジタルデータ」や「データベース」を指していないことがあるため、注意が必要です。データが紙で保有されているものであったり、紙をスキャナでスキャンしたデータである場合は、そのままではデータ分析には使えず、デジタルデータに変換する作業が必要になります。なお、デジタルデータとして保有するほうが、保管場所のコストや紛失のセキュリティ面でも恩恵があります。さらには紙媒体で管理しているとデータをすぐに取り出せなかったり、情報を十分に共有できず、業務が属人化してしまう可能性があります。デジタルデータとして管理をすることで、多様化する顧客ニーズにより迅速に対応したり、データの可視化ができるようになりマーケティング戦略でも有効に活用できます。
ポイント2 顧客データベースをクレンジングする
顧客データがデジタル化されていても、そのままでは使えないことがあります。例えば、Excelに複数の担当者が情報を記入していて、全角や半角が混在していたり「株式会社」や「(株)」など形式が統一されていない等で、データ処理した際にエラーが出たり不正確な成果物となったことはありませんか?また、顧客住所や名称が変わっていたり、データが古くなっている場合もあります。弊社が保有しているタウンページに掲載されている事業所データでも、1年に約11%(※)のデータに変動があるように、データを集めたまま放置しているとデータの価値が落ちてしまいます。データを綺麗で最新な状態に保つことは、マーケティングで大きな差がつく1歩となります。そのような作業を「データクレンジング」と言います。データの状況にもよりますが、クレンジングにはかなりの稼働が必要となる場合がありますので、信頼できる業者に依頼するのもよいでしょう。
※2020年度のタウンページデータベースより算出
(データクレンジングについて詳しくはこちら)
ポイント3 顧客を分析する
どのような顧客がいつ、どの商品を購入し、どのように利用しているかなど、顧客の状況を把握できていますか?顧客を分析することで、売上貢献度の高い既存顧客にとって良い製品・サービスを提供するヒントを得たり、新規顧客獲得のためのターゲットや販促アプローチ方法が見えてきます。一方でターゲットが曖昧では、購買率や顧客満足度を高めることはできません。また、データをただ保有しているだけでは意味がありません。データを様々な切り口で分析し、既存顧客の傾向や有望顧客の洗い出し等に役立てましょう。
【顧客分析手法の例】
特定顧客の抽出
購買金額・地域・性別・年齢等の特定の属性で抽出し、分析をします。登録データだけあれば用いることができる手法です。既存顧客にどのような傾向があるのかを細かく把握することで、同じ傾向のターゲットに対してより効率的にアプローチをすることができます。
デシル分析
「デシル(decile)」とはラテン語で10という意味があり、デシル分析とは顧客を10等分にグループ分けをし、その構成比を算出する手法です。(例:購買金額、来店回数、)例として購買金額であれば、金額が上位から順に並び変え、累計でどの程度の比率を占めるかで分析します。売上貢献度が高いグループに対して効果的な戦略を立てたりと、各グループに見合うマーケティング戦略を立てることが可能となります。
RFM分析
Recency (最新の購入日)、Frequency (来店頻度)、Monetary (購入金額)の3つの指標で顧客を「優良顧客」「普通顧客」「休眠顧客」等に分類し、分析する手法です。より顧客の求めるタイミングやニーズに合わせた施策を立てることができます。
人流分析
顧客データに人流データを付与することで、既存顧客が『いつ・どんな人が・どこからどこへ』行動したのかを見える化し、分析する手法です。既存顧客の傾向から、新規出店エリアを検討したり、混雑状況の把握等が可能となります。
まとめ
企業内のデータを有効的に活用するポイントを3つご紹介しました。
顧客データをたくさん持っていて、管理システムを導入していても、それだけでは価値を生み出すことはできません。長年の勘や、感覚で戦略を立てるのではなく、しっかりとデータを分析して最大限の価値を創出することで、より効果的なマーケティング戦略に役立てていきましょう。次回はマーケティング戦略の立て方について紹介します。
コラム筆者:西山 奈留実
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