富裕層向け商品は1案件当たりの成果が高いものも多く、そういった商品であれば効率的な利益獲得が期待されます。しかし、確実な成果を得ていくためには、ターゲットに合わせた広告戦略が求められます。富裕層向けの広告には、一般向けの広告と比べてどのような違いを意識していくべきなのでしょうか。今回は富裕層に向けたマーケティングにおいて、効果を上げるために知っておきたい富裕層の特徴や、富裕層向けの広告の種類、出稿のポイントを解説します。
そもそも富裕層とは?
初めに、富裕層の定義と富裕層をターゲットとする商品・サービスを紹介します。
富裕層の定義
富裕層という言葉のとらえ方にもさまざまな考え方がありますが、野村総合研究所では、預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険など、世帯として保有する金融資産の合計額から不動産購入に伴う借入などの負債を差し引いた「純金融資産保有額」を基に、総世帯を5つの階層に分類し、1億円以上5億円未満が「富裕層」、5億円以上を「超富裕層」と定義しています。
参考:純金融資産保有額の階層別にみた保有資産規模と世帯数(株式会社野村総合研究所)
社会全体では経済的な困窮のニュースが話題となる一方で、同じく野村総合研究所によると2021年時点では、富裕層・超富裕層の世帯数が2005年以降で最多となっていることが注目されます。
参考:日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計(株式会社野村総合研究所)
なお、富裕層と混同されやすいのが「高所得者」です。高所得者の定義も明確ではありませんが、一般的には「収入が850万円~1,000万円以上」と年収の高さが条件となっています。つまり「高所得者」については資産の有無は関連しません。
年収から見れば高所得者であっても、支出が多く資産がないという世帯もあります。逆に、標準的な年収でも親世代から引き継いだ資産により富裕層となるケースもあるでしょう。
富裕層の傾向
野村総合研究所の調査によると、コロナ禍を経て富裕層・超富裕層には意識の変化が見られます。
資産運用・管理についての意識の変化では、個人資産よりも所有する事業や企業についての心配が大きくなっています。また、複雑な商品ではなく、シンプルでわかりやすい商品を好むようになり、資産管理・運用についても積極的に学ぶ姿勢が増えていることがわかります。
健康や体力増進への意識も高まり、家族との会話や自宅で過ごす時間を大切にするようになった人も多いようです。
参考:日本の富裕層は133万世帯、純金融資産総額は333兆円と推計(株式会社野村総合研究所)
読売広告社が富裕層の消費意識を調査した結果によると、20~40代の若い富裕層ではシェアやサブスクへの許容度が高い傾向が見られ、親世代とは異なり、所有にこだわらない価値観を持つ人も多いことが明らかとなっています。
富裕層向けの商品・サービス
富裕層向けの商品やサービスは、一般の消費者向けにくらべると高額、高品質、高価値である場合が多く見られます。多くの分野で富裕層向けの商品・サービスが展開されていますがその一例を紹介します。
■不動産
自宅や別荘といった私用物件のほか、投資用・事業用物件が対象となります。
■高級車
単なる乗り物というだけではなく、ステータス、資産価値に着目して購入されます。テスラやレクサスといった高級自動車メーカーの車は、高級感や高性能、またハイクラス層としてのシンボライズされた価値を提供しています。
■トラベルとホテル
ラグジュアリーホテル、プライベートジェットチャーターサービス、世界一周旅行などの旅行体験が提供されます。海外の有名コンサートのツアー、豪華客船による世界周遊など、1名当たり数百万という商品が人気です。
■ファイナンシャルサービス
富裕層向けの投資アドバイザリーサービス、財務プランニング、信託、相続税プランニングなどの金融サービスが提供されています。私募投資信託・劣後債・仕組債などの富裕層向け金融商品、銘柄選定やリスク分散のアドバイス、税務・相続・事業承継の相談など、各プロセスにおけるニーズを満たすサービスもあります。
■生活関連商品
特別な贈り物として、高級なアイテムやカスタムメイドの製品も提供されています。富裕層向けカタログ通販では、手に入りにくいグルメや生活用品が案内されています。
富裕層向け広告の種類
さまざまな商品・サービスがあるなかで自社を選択してもらうためには、ターゲットである富裕層に向けて、ダイレクトに情報を発信することが求められます。富裕層に届きやすい広告の種類を説明します。
同封・同梱広告
インシップ広告とも呼ばれる広告手法で、富裕層が購入する商品、通販カタログ、会報誌、購読誌とともに商品カタログ、特別オファーや割引クーポンなどを同梱することでアプローチします。
直接手元に届き、目に触れる機会が多いため、ターゲットの興味にマッチした内容であれば高い反応率を期待できます。すでに利用しているサービスに同梱されることで、心理的なハードルが低下します。
一般的にはクレジットカード会社、高級ブランド、高級リゾート、高級自動車メーカーなどが多く採用する手法です。
富裕層向け情報誌・会員誌・メディアへの出稿
富裕層向けの情報誌・会員誌・高級雑誌・Webサイトなどのメディアに広告を掲載することで、ターゲット市場に直接アプローチすることができます。
これらのメディアはユーザーの興味に合わせたコンテンツを提供しているため、その読者である富裕層に対して有効な訴求効果が期待できます。例えば医師、経営者、士業向けメディア、タワーマンション居住者向けメディア、会員制の富裕層雑誌などへの広告によって、同じハイクラスの読者を効率的に囲い込むことが可能です。
なお、富裕層向けメディアではありませんが、ターゲットを絞って広告を配信可能なソーシャルメディアも有効な選択肢のひとつです。
ジオターゲティング広告
スマートフォンの位置情報(GPS・ビーコン・Wi-Fiなど)を利用し、行動履歴からユーザーをターゲティングして広告を配信する広告です。広告を特定の地理的エリアに向けて配信でき、資産家や高所得者の居住地域や地価の高い特定の都市・郊外地域を狙って広告配信することが可能です。配信エリアを絞り込むことでターゲットに沿った広告を発信できるため、反応率の高さが期待できます。
富裕層向けの広告出稿で注意するポイント
富裕層向けの広告出稿で注意するポイントについて説明します。
ターゲットについての理解を深める
富裕層とひと口に言っても、年代のほかにも親世代からの世襲型、起業や投資によって財を成したニューリッチ型、高収入の共働き世帯を指す「パワーカップル」などでタイプが分かれます。さらに個々の生活習慣や環境によっても、嗜好(しこう)にはさまざまな違いが生じます。例えば、住む場所の違いとして都市型・地方型、財産形成の違いとして資産家型・職業型、また伝統を好むタイプと新しさを好むタイプ、ビジネスオーナー型、投資家型など、置かれた立場や環境は多種多様です。
広告出稿を考える際にはこれらの違いについて把握し、富裕層のうち、特に自社商品に合った詳細なターゲットを設定することが重要なポイントとなります。
情報に関する傾向を理解する
富裕層の一般的な傾向としては、リスクへの管理意識が高いことが挙げられます。学習意欲があり、富裕層同士やセミナーなどコミュニティからの情報の活用度が高い傾向が見られます。
これらを考慮すると、情報への信頼性を重視し、納得できないものには興味や関心を示さない傾向がうかがわれます。
富裕層が、一般の人と比べて営業の対象になる機会が多いのは容易に予測できます。興味のない分野の営業、しつこい勧誘は逆効果となりかねません。客観性のある有用な情報の提供を意識しながら、興味を引き出す工夫が求められます。
ジオターゲティング広告の活用
ここからは、前述したジオターゲティング広告について解説します。単に配信エリアを設定するだけでなく、位置情報の蓄積や分析まで行うことで、効果的な広告配信を可能とします。
ジオターゲティング広告の対象
ジオターゲティング広告の対象となる人は以下のとおりです。
- 過去に特定の場所に行ったことがある人
店舗、スポット、イベントなどを訪れた履歴のある場合に対象となります。 - 現在特定の場所にいる人
特定のエリア内にいる人を対象に、半径を指定するなどした広告配信が可能です。 - 特定のエリアに住んでいる/働いている人
高級住宅街、マンションエリア、外資系金融街など、エリアを指定した広告配信を行います。
ジオターゲティング広告の配信対象
ジオターゲティング広告の対象となる人は以下のとおりです。
- 過去に特定の場所に行ったことがある人
店舗、スポット、イベントなどを訪れた履歴のある場合に対象となります。 - 現在特定の場所にいる人
特定のエリア内にいる人を対象に、半径を指定するなどした広告配信が可能です。 - 特定のエリアに住んでいる/働いている人
高級住宅街、マンションエリア、外資系金融街など、エリアを指定した広告配信を行います。
ジオターゲティング広告の配信方法
- エリア配信
エリア指定をベースにして配信する方法です。例えば高級住宅エリアに居住しており、比較的金額の高いスポーツジムやスーパーマーケットを利用しているユーザーを富裕層と推定して、ターゲティングすることができます。
- ユーザー指定配信
スマートフォンの位置情報を取得し、行動履歴からユーザーをターゲティングして広告を配信する方法です。
例えば、高級時計店、高級外車ディーラーを訪れた人をターゲットに設定することで、競合店の顧客に自店舗の顧客になってもらうといったように、一定以上の生活レベルの顧客獲得に向けたアプローチなどが可能です。
このように、よりピンポイントなエリアへの広告配信が可能なため、無駄なエリアに広告配信することがありません。そのため無駄なコストを抑えて効果のある広告を配信する効果が期待できるのです。
富裕層に特化した広告戦略で成果獲得を目指そう
日本の富裕層は増加傾向にあり、その市場は各方面から熱い視線を集めています。効果的な広告戦略を打ち出せれば、競合との差別化を図り、高成果獲得が期待できます。広告戦略の精度を高めるためには、富裕層特有の意識や行動特性を理解することが重要なポイントとなります。
NTTタウンページデータベースでは、富裕層へのアプローチに高い効果が期待できるジオターゲティング広告サービスを提供しています。タウンページデータベースとGPSデータを掛け合わせることで、居住地・年齢・嗜好(しこう)などターゲットの属性が明確になり、効率的な広告配信で高い販促効果を生み出すことが可能です。富裕層向け広告でお悩みの際には、ぜひご活用ください。
2023年12月執筆
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