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今の開業のトレンドは?新規開業件数ランキング

今の開業のトレンドは?新規開業件数ランキング

未だ新型コロナウイルス感染症は収束せず、経済にも多大なダメージを与えており、特に中小企業や自営業者にとっては厳しい状況が続いています。一方で働き方改革が進み、会社員以外の働き方を模索し、開業される方も増えてきているといわれています。

そこで今回は、新規開業件数の推移や開業件数が多い業種ランキングをまとめて考察しました。10年前との比較についてもご紹介します。

直近3年の新規開業件数の推移

まずは直近3年間、2019年~21年の新規開業件数を見てみましょう。

2019-21年の新規開業件数推移

NTTタウンページ株式会社 作成

2019年、2020年の新規開業件数は8万件以上でしたが、2021年には約5万件と急激に減少しました。

やはりその原因として新型コロナウイルスの感染拡大が挙げられます。日本で緊急事態宣言が出されたのが2020年4月。これ以降人々の移動が抑制され、世界的に経済が悪化しました。しかし、物件を押さえていたり設備や備品を揃えていたりなどの開業準備を進めていた方にとっては、安易に開業をストップさせるわけにもいきません。

また、2020年3月までは比較的新型コロナウイルスに対する警戒感が低く、当時はこれほどコロナ禍が長引くと想定していた人も多くなかったと思われます。そのため、2020年はそれほど開業件数が減少しなかったという結果になったと考えられます。

ところが、新型コロナウイルスの感染が爆発的に拡大し、緊急事態宣言あるいはまん延防止等重点措置が長引きました。開業を中止する、あるいはコロナ禍が収束するまで先延ばしにするというリスク回避の動きにより、2021年の新規開業件数が大幅に下がったものと思われます。

飲食店では、それが特に顕著となりました。2019年にはおよそ2,000件の飲食店が新規で開業しましたが、2021年には1,000件と半減。居酒屋に関しても2019年には2,000件ほどが開業していましたが、2021年には800件程度となりました。

こうしたデータからも、緊急事態宣言・まん延防止等重点措置による時短要請や休業要請の影響が見て取れます。詳細な件数については後ほど掲載するランキングをご参照ください。

10年前と比較してどう変わった?

10年前と比較してどう変わった?

続いては新規開業が多い業種ランキングです。10年前の2010年と比較しながら動向を見ていきましょう。

新規情報登録件数TOP5比較表

NTTタウンページ株式会社 作成

2010年の開業件数1位は居酒屋でした。一方で2019年は5位、そして2021年はランク圏外(6位:847件)に。この結果もやはりコロナ禍による景気の悪化や時短要請・休業要請が大きな影響を及ぼしていると考えられます。件数に関しても2010年は8,000件ほどの居酒屋が新規開業していましたが、2021年はおよそ1/10にまで減少しました。

スナックに関しても同様です。2010年は4位だったのにも関わらず、2021年は圏外に(44位:250件)。やはりこちらもコロナ禍の影響を直接的に受けていると考えられます。

健闘しているのは、2010年に2位にランクインした美容院。2020年、2021年も2位をキープし、依然として人気があるビジネスといえます。しかし、やはり開業件数は大幅に下がっています。

2010年に3位だった不動産取引は2020年、2021年には1位に。しかし、やはり開業件数自体は減少しており、不動産取引業の人気が高まったというよりは、飲食店や居酒屋の人気が下がったことが要因であると考えられます。

介護サービス(在宅)も10年前と変わらず上位にランクイン。少子高齢化の影響で高齢者が増加し、住み慣れた環境(自宅)で介護サービスを受けられることから、訪問介護ステーションの件数も増えています。

直近3年間のランキングを見ると、飲食系よりは影響が少ない小売業(コンビニエンスストア、薬局)などがランクインしているのも特徴的です。とりわけドラッグストアは郊外を中心に次々に開業しており、ドラッグストア激戦区と呼ばれる地域もあるほどです。

また、居酒屋以外の飲食店が直近3年間ランクインしているのも印象的です。外食需要は減っているものの、やはり飲食店はビジネスの定番であることを感じさせられます。

【ブレイク】こんな業種も?
データでわかるニッチなビジネス

こんな業種も?データでわかるニッチなビジネス

これまで新規開業が多い業種について触れてきました。「居酒屋」「飲食店」「美容院」「不動産取引」などは、見ただけでどんな事業をしているのかがなんとなくわかるかと思います。ここからは2021年に1件もしくは数件しか開業していなくて、かつあまり知られていない業種についてご紹介します。

紋章上絵業

紋章上絵(もんしょううわえ)とは、紋付きの紋を手描きすることです。紋付きは、冠婚葬祭や七五三、宮参りなどに用いられます。また、落語などの伝統芸能や神道、相撲などでも紋付きが着られます。紋章上絵は、国選択無形文化財に指定されていて、7年間修行をして独立し、一人前の紋章上絵の職人になるまでには10年を要するといわれています。2021年には1件の紋章上絵業が新規で開業しました。

ねん糸業

もともと糸は蚕の繭から作られていました。繭からほどいた糸は非常に細く、そのままでは使うことができません。複数の細い糸によりをかけることで、1本の丈夫な糸になります。合成繊維が普及してきましたが、それでも糸によりをかけることで、丈夫で美しい糸を作ることができます。ねん糸業はよりをかけて糸を作る業種です。2021年に1件新規開業しています。

電波障害修理

テレビがうまく映らなくなってしまった場合、電波障害が原因になっていることもあります。電波障害とは、電波の受信になんらかの障害が発生したり、電波によって機器が誤作動したりすることです。たとえば、携帯電話や電子機器、不法無線局などが発する電波や大雨などがテレビの電波受信を阻害することがあります。電波障害修理業者は、こうした電波障害による不具合の原因を特定して解消してくれます。街の電気屋さんや電気工事業者が電波障害修理業者を兼ねていることも多いようです。

曳家工事

曳家(ひきや)工事とは、建物をそのままの状態で移動させる工事です。道路拡幅や区画整理などで移動しなければならないケース、あるいは文化財などをそのままの姿で保存・移動したいケースなどで活躍します。一般的な大工と比べるとそれほど需要が高くないことと、建物をそのまま移動させる作業に特殊な技術力や大掛かりな機材が必要なため、全国で見てもそれほど業者数は多くありません。

教養情報提供

教養情報提供は、電話などでさまざまな情報を提供している業者です。昔は英会話や説法などが聞けるテレホンサービスが数多くありました。今はインターネットが普及し、だいぶ少数になりましたが、それでも2021年に1件開業しています。英会話教室や寺院、教会などが教養情報提供業を行っているケースが多いようです。

タウンページデータベースでは、こうしたニッチな業種に関するデータもご提供が可能です。

まとめ

今回の記事では、データによってコロナ禍やそれに伴う景気の悪化が新規開業に及ぼす影響や、近年の開業のトレンドについて考察しました。このように、データを見ることで、そのときの社会情勢や市場の動向を把握することができます。また、あえてランキング外の要素に着目することで、興味深い知見を得ることも可能です。今回のような新規開業件数に関するデータは、ご自身が開業する際、あるいは開業支援など新規開業者に向けたビジネスをする際に大いに役立ちます。

タウンページデータベースでは、タウンページに掲載している全国約617万件(2021年3月末現在)の情報のなかから、ご要望に合わせたデータのご提供が可能。毎年12回データベースのメンテナンスを行い、鮮度が高い情報をお届けします。また、単にデータを提供・分析するだけでなく、販促活動の支援も可能です。

データ収集・分析にお困りの方、マーケティングでなかなか結果が出ずお悩みの方は、私たちにご相談いただければ幸いです。

コラム筆者:遠藤 実希子
(2022年3月執筆)

【調査概要】
タウンページデータベースへの年間新規登録数TOP5にランクインした5業種の件数を掲載。
■対象期間と抽出方法:上記の表に記載のそれぞれの年・各3月データと、それぞれの前年・各4月データ間での新規情報の件数を[NTT業種分類]ごとに集計し算出。
※同一NTT業種分類に、同一住所かつ同一主掲載名(株式会社××)の副掲載(●●部/▲▲部)の登録が複数ある場合は、データ件数を1件として集計
※1人当たりの登録件数は、小数点以下数桁になるため10万人換算をしています。
※掲載情報は2021年11月時点のものです。


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