営業リストの作成やダイレクトメールなどを送る際の基礎データとしてのイメージがある事業所データですが、実は潜在顧客の洗い出しや市場分析、時代のトレンド発見など活用次第で、強力なマーケティングツールになり得る可能性を秘めています。今回はそのヒントを探るべく、現場でお客さまと日々向き合う営業担当者に活用事例や可能性について語ってもらいました。
今回話を聞いたのは…
NTTタウンページ株式会社
ソリューション営業部 営業部門
データソリューショングループ 法人営業チーム
1.事業所データがマーケティングに活用できることはあまり知られていない?
マーケティングに事業所データを活用するというのはどういうことですか?
宮川:
事業所データは新規顧客開拓のための営業リストとして、ダイレクトメールやテレマーケティングの基礎情報として使われるイメージが強いですが、タウンページデータベースが持つ可能性はそれにとどまりません。活用の仕方次第で強力なマーケティングツールにもなります。
畠山:
例えば、自社商材の潜在ニーズの可視化やトレンドの把握、市場分析、過去のアーカイブデータからの経年分析、人流データと組み合わせたマーケティングなどが活用例として挙げられます。
また、コロナ禍での人の流れといった、現在多くの方が関心を持たれている事柄についての分析や傾向の把握にも有効です。タウンページデータベースがさまざまなシチュエーションで活用可能なツールであることを、もっと多くの方々に知っていただきたいですね。
お客さまがどのようにタウンページデータベースを活用されているか教えてください。
宮川:
不動産業界のお客さまは、物件探しにタウンページデータベースをご活用いただいています。不動産業界では土地の仕入れ競争が激化しており、物件を手放す人や業者を他社より先に探し出すために、タウンページデータベースからいろいろな仮説を立てて、アプローチ先を洗い出しています。
例えば物件を手放した方の情報をタウンページデータベースとマッチングさせて特徴を分析、そのデータを基にしながら新たなターゲットをセグメントしてアプローチ、またその結果をデータ化して、ビジネスの拡大をお手伝いしています。
電力会社のお客さまが、電力の自由化で大口の電力消費が見込める潜在顧客の洗い出しに活用された例もあります。その際は、ペットのために冷暖房が欠かせないペットオーナーを新規顧客ターゲットとして、ペットショップの事業所データとペットショップに来店した方の人流データを掛け合わせ、来店した方への広告配信をお手伝いさせていただきました。基礎データの提供だけではなく、広告配信までをサポートさせていただいた事例です。
また、業務用食品配送業のお客さまの事例では、事業所の緯度経度情報と地図データを掛け合わせて可視化し、どのエリアに物流拠点を置くか、あるいはどの地域への出店が良いかについてなど、戦略立案のお手伝いをさせていただきました。
畠山:
高級ホテルのスイートルームに商品を導入してもらう戦略立案のため、基礎データ作りにタウンページデータベースをご活用いただきました。弊社のデータベースを使えば、ホテルがどこにどれくらいあるのかが正確に分かり、そこへ客室数や宿泊料金などを掛け合わせることでおおよその売上規模や客単価が想定でき、自社商材のターゲットの基礎資料と販売分析にご活用いただいています。
また、通信販売業のお客さまには、ユーザ分析に職業分類をご活用いただいています。タウンページデータベースの職業分類は約1,900にも細分化されているので、同じ業種の企業の購入履歴を活用し、ピンポイントなレコメンド機能に役立てられるほか、売上予測に展開して在庫管理にもご活用いただいています。また、どの業種の企業がどのような商品を購入しているかを分析して、潜在顧客を顕在化させることも可能です。
2.コロナ禍でマーケティングに活用できる事業所データに求められていること
コロナ禍でどのようなニーズの変化を感じますか?
宮川:
これまでの営業手法の見直しを求められているお客さまが増えていると感じています。対面営業が厳しくなった業界のお客さまのなかには、この機会にデータ整備をして、アフターコロナを見据えた攻めのマーケティング戦略に、タウンページデータベースをお役立ていただいているケースもみられます。
また、コロナ禍でDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の動きが強まったことから、自社データの整備やリッチ化に着手するお客さまも増加傾向にあります。
今までは自社データや、長年の経験から営業戦略を立てていたが、コロナ禍で通用しなくなったとのお声も多いです。
畠山:
コロナ禍で企業の倒産・廃業が増えたことで、既存の顧客データの最新化に迫られたお客さまもいます。古い顧客データで電話がつながらなかったり、ダイレクトメールの不達があったりと、人件費やコスト面で大きな課題に直面されているようです。
データベースは鮮度が命なので、毎月更新で常に最新化された弊社のデータがお客さまの課題解決に少しでもお役に立てればと考えています。
コロナ禍における活用事例も教えてください。
宮川:
コロナ禍では、最新の市場分析のために以前にも増して短いスパンでの情報提供が求められています。マーケティングの基礎データにご活用いただいているお客さまが、どの業種・業界がどのエリアでどの程度変化しているのか、定点観測にあたり年一回の購入から年複数回に変更されたり、コロナが流行する直前と直後の情報をご要望いただいたり、きめ細やかに分析したいというお声をいただいています。
毎月全件更新しているタウンページデータベースは、鮮度の高い正確な情報を提供できるので打ってつけです。
畠山:
コロナ禍で向かい風を受けている業界が多い一方で、体温測定器や衛生関連商品、宅配店など需要が伸びている業界では、新たにデータベースを導入いただいています。コロナの影響で新たな業種やエリアへの販路開拓に向けて、優先的にアプローチする領域を検討する場面や、営業で活用できる付加情報の収集に取り組むお客さまも増え、これまでになかったニーズが新たに出てきていることも感じています。
3.丁寧なヒアリングと精確な事業所データでお客さまの課題解決をワンストップでサポート
マーケティング活用におけるタウンページデータベースの強みとは?
宮川:
第一に、タウンページデータベースの職業分類は約1,900業種にも及び、分析や傾向把握をするうえで活用いただけます。この職業分類は、固定電話の開設時にすべてのお客さまへ事業内容をお伺いして登録先をコンサルティングしているので、精度の高さにも自信があります。お客さまによっては1つの職業分類だけでなく、複数の業種への登録をご希望される場合もあり、マーケティングにも有効活用いただけます。
第二に、データは日々更新されているため鮮度が高いです。データの年間変動率は全体で約11%、約86万件(2020年度計)あり、特に出店・閉店など出入りの激しい飲食店の情報も常に更新しています。税理士法人のお客さまが見込み顧客にダイレクトメールを約5,000件発送したところ、10件程度の戻りしかなかったとのことで、大変高く評価いただきました。
第三に、コンプライアンス面です。令和4年(2022年)4月に個人情報保護法に関する法律の一部が改正、施行される予定で、今まで以上にデータの出所は重要になります。ポイントの一つに、本人の同意を得ずに第三者へ提供されていたオプトアウト情報についての規制が強化され、提供できるデータの範囲等が変更されます。タウンページデータベースは、全ての情報で許諾を取っているオプトイン情報なので、コンプライアンス面でも安心です。
畠山:
市場を把握・分析するうえで、情報量の豊富さも、タウンページデータベースの強みです。なかでも個人事業主の情報を幅広くカバーしており、およそ815万件(2021年3月時点)の事業所データのうち約6割が個人事業主です。自治体からの健康診断のご案内のほか、住宅や自動車販売など富裕層ターゲットへのアプローチなどにも活用されています。
また、以前から大学や研究機関での学術研究の基礎資料として、活用が進んでいます。過去のアーカイブを用いて時系列で分析できる点を高く評価いただいており、最近では大手デベロッパーさまや不動産会社さまからも、アーカイブデータを基にした街づくりや再開発など、複数のプロジェクトでアライアンスを組ませていただいています。
事業所データのマーケティング活用という新たな可能性をどう広めていきたいですか?
宮川:
これまでは、新規開拓リストとしてデータベースを導入していただいて、そこからお客さまの課題解決に向き合ううちにマーケティング活用に展開した例が多いです。例えば、飲食店のお客さまがリスト導入を皮切りに、プロモーションのご相談をしてくださったことがあります。
また、新規開拓リストとしての活用で、ダイレクトメールに事業所データを紐付けた二次元バーコードをつけて発送し、二次元バーコードにアクセスしてくださった企業にフォローコールをする仕組み作りに展開した例もあります。
これからもお客さまの課題解決のためにさまざまな提案を行っていくことで、タウンページデータベースの可能性を広めていきたいです。
畠山:
弊社ではデータのご提供から広告配信までの施策をワンストップで請け負うことができます。丁寧なヒアリングでマーケティング戦略立案から施策実施までを担える人材と、アライアンスを含むNTTグループのネットワーク力、そしてそれを実行するフットワークが強みです。
宮川:
タウンページデータベースの情報は、地図データ、スマートフォンの位置情報から取得する人流データなど、さまざまな情報と掛け合わせることができるので、単なるデータのご提供にとどまらず、お客さまと一緒に伴走しながらPDCAサイクルを回すお手伝いをしたいと考えています。
畠山:
具体的なプランがなくても、タウンページデータベースについて知りたいというご相談からでかまいません。お客さまが今後何をしたいのか、何に課題を持っているのかを伺って一緒に解決していければと思っています。そしてタウンページデータベースの持つ可能性を実感していただきたいですね。
(2021年11月執筆)
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