不動産会社における位置情報データを利用した広告配信事例

マーケティング手法の進化に伴い、企業はより効率的かつターゲットを絞ったプロモーション活動を求めています。その中でも、スマートフォンの位置情報を活用した「ジオターゲティング広告」は、不動産業界においてチラシや折り込みに変わる有効なプロモーション手法として注目されています。不動産会社では、このジオターゲティング広告を導入し、プロモーション活動を強化しています。不動産会社の取り組みとその効果を具体的な事例とともにご紹介します。

不動産業界におけるジオターゲティング広告の重要性

従来の不動産業界のプロモーション手法

不動産会社は新築マンションのイベント・キャンペーンの告知のプロモーションとして、対象地域でチラシ配布や新聞折込を中心としたアナログ広告を積極的に行ってきました。チラシや折込チラシは、地域密着型で対象地域の住民に直接情報を届けることができ、印刷物として手に取って見てもらえるため、視覚的な訴求力が強く、対象のユーザーに強い印象を与えることができました。
しかし、こうしたアナログ広告にはいくつかの課題がありました。まず、印刷や配布にかかるコストが高いことや、印刷や配布に時間がかかるため、即時性に欠け、迅速なプロモーションが求められる場面で不向きでした。さらに、多くのチラシが一度に配布されることで、他社の広告に埋もれてしまい、実際に見てもらえるかどうかが不確実であるという問題もありました。このように、アナログ広告では広告効果が見えにくく、どれだけのターゲットに情報が届いているのかを把握することが困難でした。

ジオターゲティング広告導入の背景と目的

新築マンションの販売におけるプロモーション手法として、ジオターゲティング広告を活用した事例をご紹介します。このマンションは駅近で、高所得者層が集まるエリアに位置しており、ターゲットとして駅利用者、富裕層、さらには子育て世代を想定していました。そこで、GPSを活用した人流データとタウンページデータベースを組み合わせることで、ターゲット層に効果的にアプローチできるのではないかと考え、ジオターゲティング広告を導入しました。

具体的には、タウンページデータベースを活用して、地域内の弁護士事務所、医療機関(クリニック)、保育園の地点情報を取得。それにGPSの人流データを掛け合わせることで「誰が・いつ・どこに行ったのか」を可視化し、ターゲットエリアにいる潜在顧客に対して効果的なアプローチを実現しました。

プロモーションにおけるジオターゲティング広告のメリット

ジオターゲティング広告プロモーションのメリットは、従来のチラシなどが「面」で広範囲にアプローチするのに対し、「点」で特定のターゲットに精度高くアプローチできる点です。例えば、特定の地点に平日の日中、複数回訪れたと推定されるユーザー(会社や病院に勤務している可能性の高いユーザー)や、駅や保育園など特定の場所を訪れたユーザーの位置情報を捕捉し、ターゲットのスマートフォンに広告を配信することが可能です。

さらに、性別や年齢などのデモグラフィック情報を活用することで、より効果的にターゲットに訴求することができます。不動産会社では、GPS情報とデモグラフィック情報を掛け合わせ、特定の地点に訪れる30代~40代のユーザーに対して効果的なプロモーションを実現しました。

ジオターゲティング広告の配信事例

新規分譲マンション販売でのジオターゲティング広告活用

新規分譲マンションの販売において、3カ月間にわたりジオターゲティング広告を展開しました。ターゲット層は、富裕層、子育てファミリー層、および指定の駅を利用する30~40代のユーザーに設定。広告配信はDSP(デマンドサイドプラットフォーム)を通じ、期間中に約100万回、ターゲットのスマートフォンに2種類のバナー広告を配信。

駅近の立地を強調したマンションであったため、広告クリエイティブにはその利便性を前面に押し出しました。ランディングページでは、マンションの間取り図や内装写真、駅からの進行ルートや交通アクセスをわかりやすく表示し、潜在顧客の興味を引く工夫を施しました。

ジオターゲティングプロモーションの効果検証

Web広告では、コンバージョンタグを計測したいページに設定することでどれだけ反響があったかを計測することができます。従来のチラシなどのアナログ手法では正確な効果検証が難しいのに対し、Web広告では広告を見たユーザーがどれだけコンバージョンまで至ったかを把握することが可能です。今回の不動産会社では、資料請求をコンバージョン指標として設定しました。3カ月間の配信でKPIとして15件の資料請求を目標設定していましたが、最終的に20件のお問い合わせを獲得し、来場に繋げることができました。地点情報とGPS情報を活用したWebプロモーションにより、ターゲット層に的確にアプローチした結果、想定を上回る成果を上げることができたわけです。

ジオターゲティング広告とプライバシー

ジオターゲティング広告では、スマートフォンの位置情報データを活用するため、プライバシーに対する懸念が生じることがあります。そのため、位置情報の利用については、ユーザーの同意が得られている情報のみを使用し、ユーザーのプライバシーにを確保した広告配信を行います。また、ブランドセーフティとアドベリフィケーションにも配慮しますので、広告が適切なコンテンツの中で表示されるようにし、ブランドイメージを保護します。これにより、広告が不適切な表示をされるリスクを軽減し、信頼性の高い広告配信を実現することができます。ユーザーの信頼を得るためには、これらの配慮を徹底し、安心してご利用いただける広告運用も欠かせません。

人流データを活用したプロモーションの展開

Webプロモーションを通じて潜在層から顕在層へアプローチ

今回、人流データを活用したジオターゲティング広告により、目標を上回る成果を達成しました。この結果を受け、今後販売するマンションのプロモーションにも同様の手法を検討しています。さらに効果を高めるため、まずは認知拡大を図り、その後、ユーザーの興味を引き、来場までのプロセスをすべてデジタル上で完結できるよう取り組む方針としました。

具体的には、ジオターゲティング広告で潜在ユーザーにアプローチし、リターゲティング広告やリスティング広告を組み合わせて顕在ユーザーを増やしていきます。さらに、ランディングページを魅力的に構成し、閲覧者の関心を引きつけることで、コンバージョンの向上を目指します。

Webプロモーションを活用することで、これまでアナログ広告ではリーチできなかったユーザーにも効果的にアプローチできることがわかりました。今後は、デジタルマーケティングの可能性を最大限に活用し、さらなる売上拡大を目指していきます。

まとめ

人流データに基づいたターゲティング広告により、興味を持つ可能性が高いユーザーに対して、的確なプロモーションを実施することができ、これまでリーチできなかった潜在層にも効果的にアプローチできるようになりました。今回の事例が示すように、ターゲットエリアにいる潜在顧客へのアプローチは、物件の認知拡大と販売促進に寄与します。

新たなWebマーケティング手法を検討している不動産会社の皆さま、ぜひお問い合わせください。ご質問や不明点がございましたら、下記のリンクからお問い合わせフォームをご利用いただけます。

業種:不動産 導入サービス:ジオターゲティング広告 導入時期:2022年11月
2024年10月執筆


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